開発メンバーに気軽に話を聞いていく企画第3回は、NOTA歴5年目の古株エンジニア id:Pasta-K (@pastak)が登場。入社経緯、仕事内容、リモートワークについて聞きました。
Pasta-K
京都大学工学部情報学科計算機科学コース在学中。Nota Incのアルバイト5年目、周囲から“バイトリーダー”と呼ばれている。主にGyazoの新機能開発、フロントエンド周辺の開発環境整備、ブラウザ拡張のメンテナンスなどを担当している。趣味はインターネットとビール。サーバーからビールサーバーまで扱うことができる。
NOTA Incへの入社経緯を教えてください。
NOTAでアルバイトをするようになったのは、CEOの洛西と、NOTAの元リードエンジニアで友達のuiureoと、ぼくの3人で、2014年の夏頃に昼ごはんを食べたことがきっかけです。ぼくは、別の会社で、とある情報サイトのプログラミングからインフラまで何でも担当するアルバイトを1年ぐらいしていた頃でした。もともと、Gyazoユーザーだったので、uiureoから「ランチに来ないか?」と誘われた際に、興味本位で、NOTAがオフィスを間借りしていた、京都リサーチパーク町家スタジオの1階まで行きました。3人で昼ごはんを食べ終わると、なぜか、洛西から、「このあと時間があるなら、セットアップしていく?」と誘われて。2階に上がって、開発環境を整えて以来、NOTAでアルバイトをしています。もう5年目です。
急展開ですね。サービスの開発に興味はありましたか?
そもそも中学生の頃からコードを書いていたんですよ。シャープから発売されていた、BASICを処理できる関数電卓を祖父にプレゼントしてもらって、雑誌に掲載されているものを書き写して、動かしてみることが楽しかったんです。JavaScriptで電卓とかをつくっていくうちに、のめり込んでいって、プログラミングをするようになりました。もう10年以上、コードを書いています。
uiureoさんに声をかけられて、どう思いましたか?
Gyazoユーザーだったので、アルバイトをしてもいいかなって思いました。uiureoとは、関西で中高生の頃からプログラミングを書いているインターネットの仲間です。彼はGifzoというサービスを開発して、NOTAに譲ったことをきっかけに、そのまま働き始めていました。
Gyazoに魅力を感じていましたか?
そうですね。Twitterは、まだ画像アップロードができなかったんですよ。スクリーンショットをアップロードすることはとても大変な作業で、Gyazoでそれを全部やっていました。入ってみると、思っていたよりもユーザーが多いサービスで、驚いたんですよ。身の回りの人だけが利用しているものだと思っていたんですが、海外ユーザーもたくさんいて。京都には、そもそもサービスを開発している会社が少なかったなか、そういうサービスがここにあることは珍しかった。
世界中にユーザーがいることに魅力を感じていましたか?
はい。ぼくは、趣味でブラウザ拡張機能をつくっていたので、「Gyazoでも、つくってみる?」という話になりました。Chrome向けからはじめて、FirefoxやEdgeもつくっていきました。その頃は、Gyazoのデスクトップアプリみたいに、PCの画面を撮るように閲覧中のウェブサイトをキャプチャーすることができなかったんです。サイトに埋め込まれている画像をアップロードするだけではGyazoの魅力が伝わらないと思って、ページ全体や選択範囲をキャプチャーできる拡張機能からつくっていきました。最初の拡張機能をリリースしたのは、数ヶ月後になります。
これまで、どんな仕事をしてきましたか。
開発してきたGyazoの機能だと、画像の上にテキストを書けるようにしたり、矢印の長さを調整できるようにしたり、画像の加えた要素の重なり順を変えることができる機能をつけて、画像に加えた操作をひとつ戻す機能も整えて……そのような編集機能をつくってきました。本当に細かいことを次々とやっていったんですよ。NOTAはみんな、Scrapboxにほしい機能のリクエストをためている会社なので、そこから選んで、自由につくっています。例えば、リクエストのなかにモザイク処理がほしいというのを見つけたら、追加できそうなタイミングでそれをつくってみて、確認してもらい、OKだったらリリースされます。Gyazoでは、パスワードをかけて共有する機能があるんですけど、それをSlack上で共有した時だけ自動で展開されるようになる機能などもつくりました。
たくさん開発してきたんですね。今はどんな仕事を担当していますか。
プログラミング以外では、最近、ぼくよりあとに入ったアルバイトの様子を見て、コメントを残すようにしています。また、ぼくが書いた数年前のコードを、現状のサービス全体を見渡して、指針を立て、書き直すことにも取り組んでいます。データの入口と出口を一本化し、綺麗にしていくような仕事ですね。
これまでに一番思い出深い仕事はなんですか。
最初にやったことでもあるので、やっぱりブラウザ拡張機能かもしれません。初期のブラウザ拡張はウェブサイト上の画像をGyazoにアップロードできるだけだったので、Tumblrに投稿しているのと変わらないような感覚のサービスだったと思うんです。でも、ウェブサイトの選択範囲やhtml要素に沿ってキャプチャーできるようにして、拡張機能をより便利にすることができました
便利になったかどうか、ユーザーの反響は見ましたか。
Chromeストアの評判はよかったです。NOTAや社外イベントに行った際も、ユーザーに声をかけてもらうことは少なくありません。この前、ブラウザ拡張機能のユーザーから、「ブラウザ以外は撮れないの?」と聞かれたんです。そのユーザーはGyazoにデスクトップ版アプリがあることを知らなかったんですね。昔は、デスクトップ版アプリをもっと普及させるためにブラウザ拡張機能をつくっていたんですが、ブラウザ拡張機能をメインに使っている人がデスクトップも撮りたくなる、というような逆転現象が起きたくらい、喜んで使ってもらえているんだと思いました。
ユーザーに喜ばれると嬉しいですよね。
それがなかったら、あんまり意味がないというか。人が使うものなので、気づかれていなかったり、使われていなかったり、使いづらくなっていたりしたら、意味がないと思うんです。
Pasta-Kさんにとって、使いやすさって何だと思いますか。
NOTAのサービスは、ユーザーが暮らしの一部として利用するもの。Gyazoも、何かコミュニケーションを図る過程で、画面やブラウザを撮る必要があった場合に使ってもらえます。だから、Gyazoを利用するために新しい操作を覚える、といったことはユーザーにとって負担だと思うんです。本当にシンプルで、自然と、見覚えのあるアイコンを押せばイメージ通りに操作できることは大切にしています。例えば、Macユーザーならcommand+Sで保存するのは自然なので、習慣でその操作をした際に当然のように保存できていて、そんな素朴な喜びをNOTAのサービスを利用するユーザーに感じてもらえていたら嬉しいです。
NOTAは、素朴な喜びをつくるのに良い環境ですか。
みんなユーザー体験へのこだわりが強いですよ。開発側は、プロトタイプしても、デザインが信頼できるので、フィードバックを反映しやすい環境だと思います。
NOTAでは、どんな風に働いていますか。
京都オフィスには週1、2日通って、ソファで書いています。みんなとのコミュニケーションはSlackとScrapbox、Githubを使っていて、自由に働いていますね。社風が合っているんだと思うんです。
NOTAの社風はどんな感じですか。
一言で表すと、プロトタイプをつくってから会話する会社です。
あと……ぼくはちょくちょく旅行しているんですよ。以前、鳥取にスターバックスができた際は、そこでリモートワークをしました。往復の交通費と宿泊費ぐらい稼ぐだけ駅周辺で働いて、そのあとは鳥取で飲んで帰りました。
リモートワークは、満喫できているんですね。
味を占めて、ベトナムで働いたこともあります。LCCのセールで、往復17,000円ぐらいのときに行きました*1。大学のサークルの先輩数名と、ヴィラを借りて。プールがついているところだったので、プールサイドで他のアルバイトの子と一緒に、NOTAのミーティングにも参加しましたよ。Macのカメラでベトナムの様子をみんなに見せてみました(笑)
リモートワークを円滑にする上で、ポイントになることは?
事前に行き先を伝えています。暇な時間があれば、働くことを伝えていれば、他の地域で働いているNOTAのプログラマーとも、一緒に働けるんです。ベトナムに行った際は、福岡でアルバイトをしている子と、ペアプログラミングをしました。NOTAはみんなリモートワークに慣れているので、離れていても、気軽にミーティングやペアプログラミングをしています。 あとは、パソコンをそのままにしない。セキュリティですよね。
その他といったら……Slackの通知を必ずチェックするようにしています。離れて働いているから反応が悪いと思われてしまったら嫌で。どこにいても、同じ反応をしていたいんです。ぼく宛でない通知内容も見るようにはしています。きっと、いつどこにいても同じ速度で反応が返っていれば、声をかける側が距離を気にしなくて済むはず。なるべく、数分以内に返事をしています。
NOTAでは、今後どのようなことをしていきたいですか?
やっぱり、昔書いたコードが残っているから、他の人が触りづらい状態も多くて、そういうコードを整えていきたいと思っています。良いUIのために、コードが複雑になることは仕方ないけれど、バランスを取る難しさと向き合いながら、諦めずに整えて行くことを大切にしています。ただ、その作業に手をつけることができるほど、開発メンバーが多くないのは実情で、他の機能をつくっていくことと天秤にかけたら、優先順位を低くしてしまいがちだとも思うんです。それでも、何とかしていきたいと思っています。見通し良くしていきたいから。
最後に、どんな人と働いてみたいか教えてください。
GyazoやScrapboxが好きな人です。Gyazoを使っていたら困りごとができて、それを直しにくるような人。ぼく自身がそうでしたから。