言語処理学会第30回年次大会(NLP2024)に参加しています

Gyazo プロジェクトマネージャーのnishiyamaです。

3月11日から神戸市で開催されている言語処理学会第30回年次大会(NLP2024)に、他のメンバーとともに参加しています。

anlp.jp

本記事では会場となっている現地・神戸国際会議場の様子と、初日・二日目のセッションのピックアップをお伝えいたします。

会場について

今年の大会が開催されている神戸国際会議場は神戸市のポートアイランドにあります。

会議場やホテル、商業・港湾施設などが集積する「21世紀の海上都市」と銘打って1981年に街びらきが行われたこの島は、完成当時には世界最大の人工島だったそうです。

アクセスは主に海側の神戸空港からか、山側の三宮方面から陸路でやってくることになるでしょう。

いずれの場合にも乗る機会のあるポートライナーは、世界初の自動無人運転方式モノレールだそうです。最先端の技術が投入された場所なんですね!

ポートライナー車内から線路を振り返った光景の写真

一日目

一日目はまずチュートリアル4件と、オープニングとそれに引き続く招待講演、そしてスポンサーセッションが行われました。

このうち「デジタル・ヒューマニティーズ入門」では、人文情報学の概況を知ることができました。Kaggleの日本語くずし字認識コンペティションには全世界から参加があり、実際に上位2位までが海外勢だったという話には驚きました。

「計算社会科学入門」では、自然言語処理や計算論的な分析アプローチを、社会科学にどのように適用していくかが検討されていました。政治的なトピックや倫理上の懸念など、言語にとどまらない難しい問題も論じられていました。

年次大会30周年を記念するオープニング、去年の受賞者の招待講演の後には、スポンサーセッションとそれに続く参加者同士の交流がありました。この時間に他の協賛企業の方ともお話できたのがよかったです。

二日目

二日目から通常の発表が始まりました。最初のセッションは9時半開始でしたが、なんとか一つ目の発表から聴講できました。

D1:社会言語学・その他の言語学のセッションでは、D1-1「サンスクリット文献『リグ・ヴェーダ』の韻律構造にもとづくクラスタ分析」を聴きました。古典文学の要素還元的な分析は去年の大会で自分も挑戦したのですが、この発表でも伝統的な分類に符号する結果が得られていたことは示唆的でした。

E2:データ生成のセッションでは、E2-3「嘘がなく、面白いクイズの自動生成」が面白かったです。早押しクイズではしばしば回答タイミングを先延ばしにする「前フリ」がありますが、そうした分析を経たうえで「面白い」クイズをChatGPTで作問するという内容でした。

E3:言語モデル分析・計算言語学のセッションで興味をそそられたのが、E3-4「長距離相互作用する文脈依存言語における相転移現象 -言語モデルの創発現象を統計力学の視点で理解する-」です。非連続的な質的変化という観点から、相転移という物理現象と言語モデル創発現象を結びつけるという大胆な、しかしポテンシャルも感じる試みでした。

ポスター発表およびデモ展示のあった、P5-11「ロボット対話によるインタラクティブ観光プランニング」は、観光案内というタスクをうまくシステムに落としこんでいるのに加えて、VRキャラクターとの対話というインタフェースがとても魅力的に映りました。

軽飲食

食事は会場付近の広場にキッチンカーが配備されているのに加え、会場内で神戸やその他の兵庫県のお菓子を含む軽飲食が提供されています。

二日目には播州赤穂の塩を使った「塩味饅頭 志ほ万」や、日本で初めて焼かれたことで知られるユーハイムバウムクーヘンを口にすることができました。

NLP2024会場内で提供されているお菓子

おわりに

明日と明後日は引き続き本会議の発表が、そして最終日の15日には併設のワークショップ4件が控えています。

神戸の中心街である三宮駅前はここ数年で再開発され、とても綺麗になりました。 1000万ドルの夜景のことも気になるところですが、明日以降に備えて夜ふかししないようにしたいと思います。