Notaコーポレートロゴリューアルのプロセスをご紹介

こんにちは。Notaでデザインを担当している吉原です。Notaでは今年前半の3ヶ月ほどをかけて会社のブランドを刷新しました。

以下の比較からも分かるようにロゴやコーポレートサイトが大きく変わっています。

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概要についてはブランド更新の告知ページでもご覧いただけますが、この記事ではそのプロセスをご紹介したいと思います。

はじまり

なぜリブランディングが必要なのか

Notaではこれまで運営してきたGyazoに加え、ScrapboxやHelpfeelなどのプロダクトも加わりユーザーも多様化しています。ゲーマー層が多いGyazo、エンジニアやオフィスワーカーに使われるScrapboxB2BサービスのHelpfeel・・・、このようにカバーすべき領域は広くなっています。ところが、ユーザー層は違えどこれらのプロダクトは全てNotaの共通の哲学に基づいて作られています。そのためこれらのプロダクトを繋ぐために、共通性を示すブランドとNotaロゴが求められるようになってきたのです。

プロジェクトメンバー

プロジェクトメンバーはNotaのデザイナー陣およびマーケッター、そして社外からはSawa Design Officeのsawaさんを招いて構成されました。sawaさんは元々家電メーカーのプロダクトデザイナーで現在はフリーのデザイナーとしてプロダクトからグラフィック、ブランディングまで幅広く活躍されています。

プロセス

プロジェクトは以下のようなプロセスを経て進みました。それぞれの内容を詳しく説明したいと思います。

Notaの世界を可視化

今回我々がもっとも重視したのがこの過程です。ブランドと聞くとロゴのデザインが一番に思い浮びがちですが、ロゴはあくまで結果です。その背景には会社の個性や哲学、メッセージといった抽象的な「Notaの世界」が存在します。そこを明確化しないことにはロゴのデザイン作業には進めません。人に例えるなら、ロゴは「表情」、Notaの世界はその人の「人柄」といったところでしょうか。

言葉の抽出

まずは言葉でNotaの世界をアウトプット。「Notaがモノづくりにおいて大切にしていること」というお題でブレストを行いました。皆の個性や特徴、考え方や好きなことを吐き出します。ちなみにNotaでは海外でのサービス展開が盛んなため、プロジェクトチームもグローバルです。言語が異なるメンバーでのブレストですが、意外にも議論は弾みます。「そうそう、それは大事だよね」「その感覚ってこういう言葉で表現できるんじゃない?」これまで潜在していた自分たちの哲学のようなものが徐々に現れてくるのが実感できます。

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平行して社内のScrapboxでもキーワードや意見を募ります。今回のプロジェクトに限った話ではないですが、こうした議論にはScrapboxをフル活用しています。Notaでは各人で働く場所や時間帯がバラバラなので、Scrapboxを使って場所や時間に囚われず意見を募れるのは大きな強みになっています。

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最終的に3つのキーワードが残りました。これらの言葉はNotaが開発しているプロダクトや私たちの柔軟な働き方を象徴しています。

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また言葉による自己認識ができたので、この時点でコーポレートミッションも再定義しました。以下がNotaの新しいコーポレートミッションです。

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ムードボードの作成

次に、世界観をより具体的に共有するためにムードボードを作成しました。ムードボードとは、コンセプトをより具体的に表現するために様々な画像を用いて作られたコラージュのことです。

なぜこの作業が必要なのか?言葉とビジュアルの繋がりは、人によって驚くほど違いがあります。例えば「楽しい」という言葉からおもちゃを想像する人もいれば、スポーツを想像する人もいます。言葉とビジュアルの繋がりを皆で共有しておかなければ、ロゴデザインについて議論する際に大きなすれ違いが生じます。逆にうまく共有できていれば、アイデア展開の精度がかなり向上します。

以下は当時のScrapbox上でのやりとりのスクリーンショットです。メンバーが共感するボードに投票したり、キーワードを追加している様子が残っています。

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この議論により、お互いの認識の違いや足りない要素がかなり明らかになりました。ムードボードの目的はあくまで方向性の確認なので、どれか1つに絞るようなことはせずに次の段階に進みます。

ロゴデザイン

さていよいよロゴ デザインのアイデア展開です。事前の過程でアウトプットした言葉やムードボードに基づいてアイデアを出します。

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この時点で気を使ったのがアイデアの比較検討の方法です。ロゴは単独で見る場合と、実際の利用シーンではかなり印象が変わります。そのため、ある程度候補が絞られた段階でノベルティ商品やランディングページなど仮の利用環境を設定した上で比較検討を行いました。

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仮の利用環境を準備することで、様々な問題を発見できました。例えば、ロゴと既存プロダクトの関係について。この時点では、アイコン(シンボル)とテキストを組み合わせた案もあれば、ワードマークだけで構成される案もあります。ところがNotaではGyazoScrapbox等のプロダクトもそれぞれアイコンを持っています。Notaロゴがアイコンを伴ってしまう場合、同一ページ上で喧嘩してしまうことが分かりました。そのためNotaロゴに関してはアイコンを伴わないワードマークのみの案に絞られました。

1案に絞られた後もブラッシュアップを重ねます。要素同士の間隔やコーナーのラウンド具合など詳細に詰めていきます。またカラーについてもこの段階で調整します。

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こうして最終的なロゴデザインが完成しました。このロゴは直感的な躍動感や構造的な面白さ、そして流れるような美しさを兼ね備えており、プロジェクト当初に話し合ったキーワードにぴったりです。自然に「シンクロトロン (円形加速器)」という名前がつけられました。発想の元に「流れの中でアイデアを加速させるようなイメージ」というものがあり、議論の当初からこの愛称で呼ばれていたからです。

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プライマリカラーには深く、エネルギッシュな青を採用しました。この青はデジタルデバイスでの利用を強く意識していることが特徴です。一般的にブランドロゴは、紙媒体、屋外利用などさまざまなメディアの環境を考慮した場合、印刷の制約を受けざるを得ないものです。しかしNotaのサービスはそれこそ一日中デジタルで上で使ってもらうものなので、あえてデジタルでしか表現不可能な色合いを使っています。これによりインパクトのある新しい表現が可能になりました。

ガイドラインの作成

新しく入ってくるメンバーや外部の関係者にもNotaのブランドを認知してもらうために、簡単なブランドガイドラインを用意しました。ブランドガイドラインはNotaのブランドの指針です。ロゴの利用規定やカラーパレットなどビジュアルだけでなく、コーポレートミッションや会社としての振る舞い方までNotaの世界が明記してあります。以下にその一部をご紹介します。

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リリース後

このブランディングプロジェクトを経て、これまで曖昧だったNota像が明確に共有されたように感じます。日常の業務でも変化が起きています。例えば、プロダクトの開発現場において機能やデザインの判断基準にブランドの原則が用いられることがあります。自分たちが何者なのか、何を目指すべきなのかを認識できていれば、議論や判断も楽になるのだと思いました。

今回のプロジェクトにより大きな進歩はありましたが、Notaはまだまだ成長過程にある企業です。様々な変化の中でブランドもアップデートが求めれることもあるでしょう。今後も着実にNotaブランドを成長させていきたいと思います。